乳がん検診 と ブレストアウェアネス

乳がん

乳がん検診を受けたことありますか?
乳がんは女性の中で最も多いがんであり現在も増えています。今や9人に1人の日本人女性が生涯のうちに乳がんを発症すると言われています。
また、乳がんは幅広い年代で発症するがんです。比較的若い方が多いですが、80代、90代で乳がんになる方も珍しくありません。
乳がんは治りやすいがんですが、それでも毎年約15000人の方が命を落としています。※人口動態調査2020年より


乳がんは遺伝しますか?

乳がんは遺伝すると聞いたことがあるかもしれません。確かに、親から受け継がれた遺伝子によって発病する乳がん(遺伝性乳がん)があります。ただしこれは乳がん全体の10%程であり、そう多くはありません。

ですので、親や血縁者に乳がんの方がいなくても、どなたでも発症する可能性があります。

乳がん検診は大切です

乳がん検診は乳がんで亡くなるリスクを減らす力があります。
もう少し詳しく言うと、
乳がん検診を正しく受けているグループと、乳がん検診を受けていないグループを調べた大規模な研究が(いくつも)ありました。
その結果、両グループで、乳がんで亡くなる率(乳がん死亡率)が明らかに違うということがわかりました。もちろん乳がん検診を受けているグループの方がリスクが下がり、ほぼすべての研究で結果は一致しています。

このように、亡くなる人を減らせることが明らかな検診は公共施策として行われます。これを「対策型検診」といいます(⇔任意検診)。原資は税金ですが、いわば税金を投じてでも社会への利益が高いとみなされている検診ということです。現在、対策型検診として行われている検診は、乳がん、子宮頸がん、大腸がん、胃がん、肺がんの5つだけです。

乳がん検診は何をするの?

今のところ、対策型検診として行われる乳がん検診は40歳以上のマンモグラフィー(と自治体によって視触診)です。視触診は単独での有効性が明らかでないので廃止した自治体も多く、個人的にも無くて良いかな、と思います。

普段の胸を知らない人が行う2年に1回の視触診より、個人個人がいつも胸を触ったりして胸に何か変わったことがないか意識する生活をすることの方が重要です。これを最近の言葉で《 ブレストアウェアネス 》と言います。アウェアネスとは、日本語で気づきという意味です。何か症状がある場合は検診ではなく、乳腺外来を受診しましょう。

対象が40歳以上な理由は、今までの研究を総合的に判断した結果、その年代からのマンモグラフィー検診の有効性が高いと判断されているからです。それよりも若い方は乳腺が発達しているため、マンモグラフィーでは病気が隠れて見えにくいことも理由です。

被曝のリスクは?

マンモグラフィーの被ばく量は低いです。少し専門的になりますが、1回のマンモグラフィーで受ける放射線の量は約0.05mSv(ミリシーベルト)で、ひとが1年で自然に浴びる放射線量(2.4mSv)の約50分の1です。例えば、飛行機に乗って東京ニューヨークを往復すればそのぐらいの被ばく量となります。

40歳以上の方のマンモグラフィーは明らかにメリットがデメリットを上回ると言えるでしょう。

次に超音波検診は?

超音波は簡便で気軽にいつでも受けられる検査です。しこりの有り無しや位置、病変の細かな様子を把握するのに向いた検査で、若い・乳腺が発達している方には適しています
一方で、小さな石灰化(癌の初期の可能性がある病変)の発見能力はマンモグラフィーよりも劣ります。

ではマンモグラフィーと超音波をどっちも行ったら良いのでないか?という疑問がでてくると思います。
これについては大規模な研究が行われており検証中です。
今のところ乳がんの発見率は(マンモと超音波をどっちも行う方が)優れているということが分かっていますが、死亡率を下げるという根拠は出ていないので、対策型検診には含まれていません。
ですので現在は超音波検診は任意検診(自費検診)として行われることが一般的です。

左から看護師、河田健吾(乳腺専門医・マンモ検診読影AS判定・超音波検診A判定)、放射線技師(MMG撮影技術A判定)

当院ではマンモ撮影技術A判定(最高評価)の放射線技師、マンモ読影AS判定(最高評価)、超音波検診A判定(最高評価)の乳腺専門医が、大学病院にも負けない最新の設備で、乳がん検診、乳腺外来を行っております。
何でも気軽にご相談下さい。

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監修:河田健吾 
   乳腺専門医・外科専門医・検診マンモグラフィー読影医師・検診超音波判定医師A判定

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