乳房再建 Breast reconstruction

乳房再建術は、乳がんの手術で失った乳房を作り直す手術です。
乳がんは治療の進歩により治りやすいがんになった反面、日本の乳房再建率は先進国の中でも低く、多くの方が乳房を失ったまま長い人生を過ごされているという現状があります。

当院では主に人工乳房（インプラント）を使用した再建術を実施しています。通常は胸に組織拡張器（エキスパンダー）と言われる生理食塩水バックをいれ、だんだん膨らませてからシリコンバックと入れ替える2回法（二期再建）で行われること多いですが、当院の再建手術は、原則的に組織拡張期を使用しない1回法（一期再建）で行い入院は不要です。
1回法は一度で再建が完成する負担の少ない方法ですが、適切な術式や知識が要求されます。再建をご希望の方は診察にいらしてください。

自家組織による再建術が望ましいと考えられる場合は大学病院等へご紹介いたします。

乳房の再建後は乳頭や乳輪の再建も可能です。
温存手術後の乳房の変形の修正も可能なのでご相談ください（保険適用外）。

乳がんは早期からがん細胞が血管やリンパ管を辿って全身に回っており、適切な全身治療が行われたらお胸を大きく取っても小さくとっても生存率が変わらないことが明らかになりました（フィッシャーの理論）。現在、乳がんの手術の目的は根治性を損なわない美容の追求に変わりつつあります。

しかしながら、まだ乳房再建は日本で完全に普及しているとは言えず、十分な説明のないまま全摘術をされた方も多くおられます。理由には外科医が忙しくて再建の案内ができない、手術枠の問題（再建術をすると＋αの時間がかかるので、1日にできる乳がん手術が限られてしまう）、形成外科医の不足等があります。 乳房再建はいつでも（再建したいときがする時）、だれでも（年齢に関係なく）可能です。生活の質やその後の人生を踏まえてご一考ください。